2019年4月18日木曜日

さらざんまい1話視聴時点の感想・考察

・概要

この一年,幾原邦彦監督が携わった『美少女戦士セーラームーン』,『劇場版美少女戦士セーラームーンR』『少女革命ウテナ』,『輪るピングドラム』,『ユリ熊嵐』を見てきました.そのタイミングでこの『さらざんまい』の放送が始まり,とても感情を抑えきることができないので,毎週その時どう思ったか,どう考えたかを書いていきたいと思います.

なお,上記作品と『さらざんまい』1話のネタバレを含みます.また,スクショを貼ったりしていない文章のみになります.

・感想

第一話でありなかなか良さを語ることが難しい.凡庸な意見だが,内容と映像美のギャップが一番好きだと感じた.

この世の中には敵キャラの肛門に入っていく映像を滅茶苦茶高いクオリティで作ることで食っている人がいるという事実,すなわちこの世界が多様性を許容してくれることに感動せざるを得ない.低いクオリティの良くわからない映像を見ることはあっても,高いクオリティで良くわからない映像をみることはなかなかない.謎の疾走感あふれるカッコイイポーズと音楽の中で,女装癖が友人にさらされる映像なんて人生を1000回やり直しても思いつかない.

僕はこういった「役に立たないけれど自分がやってて楽しいこと」をすることが好きで,世界(例えば大学)がそういうのを許容してくれるということを感じたときに無性の喜びを感じてしまう.この作品はまさにクリエイターが自分の才能をフル活用して今まで誰も見たこと無い映像を作ろうという気概が感じられる.そういうクリエイターが存在すること,さらにそういう価値観が許容されることに対してこの上ない喜びを感じるし,この先3ヶ月間そんな映像を毎週見ることができるという期待感で胸がいっぱいである.

他にも「欲望」に焦点を当てた作品であるという点が非常に気になっている.今までのイクニ監督の作品は「愛」と「欲望」という対立について語られてきた.ここでいう愛とは単純な利他行為ではなく,その動機が欲望に基づいておらず,真に相手のためを思ってるという点に注意されたい.『ユリ熊嵐』は「愛というものを十分に理解していなかった主人公クレハが,友人ルルの愛の実践を通して愛を理解し,自身も愛を実践し幸せを得る」という流れであり,愛の重要性が説かれていた.

しかしながら欲望がない人間はいないし,欲望が人間を人間足らしめているといっても過言ではない.すなわち愛と同様に欲望も人間にとって必要不可欠な要素なのである.イクニ監督がこの点をストーリーの中央に持ってくるのは知る限りでは初めてである.今までとは正反対のテーマでイクニ監督は何を語るのか,非常に気になるところである.

それ以外にも語りたいことは沢山あるのだが,最後に一つ挙げるとしては今回は男がメインの話という点が今までの作品とは異なる.ここでいうメインとは何かといえば,変身するキャラクターのことを指している.

『美少女戦士セーラームーン』では中学生がセーラー戦士に,『輪るピングドラム』では陽毬がプリンセス・オブ・ザ・クリスタルに,『ユリ熊嵐』ではルルとギンコが半クマ状態に変身する.みんな女の子で可愛かったのだが,今回は男の主人公がスタイリッシュに尻子玉を抜かれてケッピのお尻から出てくるという滑稽な映像になっている.今まで美少女の変身で食ってきた人が少年の変身に路線変更したのは面白い判断だし,何か理由がありそうだし,気になるところである.

・シンボルが持つ意味の考察


・箱

1話を見る限りでは,箱は「秘密を守るもの」という機能を持っており,中には秘密が入っていると考えるのは自然だろう.トオイの「箱を開けられるとまずい」というセリフから中身を見られたくないことが分かるし,カズキの箱の中身は女装セットで,見られたくない秘密であった.おそらく今後の話の中でトオイとエンタの箱の中身が漏洩するのは必至だろう.

ちなみに個人的にはニコ動のコメントでちょくちょく見られる「箱は欲望のメタファー」という説明は間違っていると考える.この説はおそらくハコゾンビとの戦闘シーンに「ハコ❤欲望」と書かれているところから来たと思われるが,これはハコゾンビ化した人間の欲望の対象を表しているのであって,一般的には「箱は欲望のメタファー」ではないと思われる.多分来週のこの部分は「ネコ❤欲望」とかになってると思う.しかし今回箱男の欲望は欲望であると同時に秘密でもあったので一概には言えない.欲望と秘密の癒着はSARAtto reportにもある.

なお,イクニ監督の作品を見てきた人なら,また箱か……と思いつつも今まで出てきた箱とは少し違う印象を受けたかもしれない.箱についての考察はこのサイトが非常に詳しい.今までは人が入るくらい大きな箱だったものが,だいぶ小さい箱になっている.人に触れられたくない部分がたくさんあるキャラクターが出てくれば,もっと大きい箱が出てくるかもしれない.今後も箱の活躍に注目していきたい.

・随所に現れる㋐

愛,アンテナ,浅草,etc……など沢山の考察がある.調べたところ対象aではないかという考察もあり,面白いのだが対象aって何?となったりしている.

まぁおそらく意味は一つではないだろうと思っている.尻子玉の転送をするときに電波マークの下にアが書かれているのを見るとアンテナかもしれないと思うし,元の世界では㋐だった看板が欲望ワールドではカワウソになっていることから,㋐は欲望の逆,すなわち愛であると考えるのも自然だろう.そういう訳で個人的には一つの意味であるとは思わない.

・丸い円が持つ意味

1話冒頭で「この世界はつながりで溢れている.血の繋がり,街のつながり,思いのつながり……」と話しているときに,導火線が燃えるような音とともに,白い背景に黒い丸が描かれるカットが度々入る.それと同時にカズキの足についたミサンガが強調される.

これだけ繋がりについて話しているときに,2つの円が強調して示されていたら,円がつながりを表すと考えてしまって問題ないと思われる.またこの仮説は「身も心もつながる」さらざんまいという行為が,3人の皿をつなぎ合わせて一つの皿(丸い円)を作ることで発生することからも支持される.

しかしながら世の中には丸いものなどいくらでもあるので,背景を描くと意図せず丸いものが描かれてしまう(例:車用信号機のライト).したがって丸いものすべてが繋がりを表しているというわけではない.しかしカッパの皿や㋐のマークについは,繋がり・絆の意味を若干なりとも含んでいると見て問題ないと考えている.

・さらざんまい

「さらざんまい」という言葉は,直接的には3人の皿がつながる「皿3枚」から来ているとみて良いと思われる.しかし,この行為は「知られたくない秘密もすべて共有」してしまうほど,3人が「身も心もつながる」ことだとケッピが述べている.

正直この行為が何を意図するか1話だけではわからない.だが,秘密の共有というのは強い繋がりを持つ家族や恋人,親友の間で行われるものであるため,この行為は3人が非常に強い繋がりをもつことを暗示しているのではないかと思っている.この考えは,『輪るピングドラム』における,リンゴを共有した者たちが家族になったという構図から着想を得ている.根拠は薄い.

・カッパ

正直まだわからない.丸い円が繋がりを表しているならば,丸い皿を持っているカッパはポジティブなニュアンスを含んでいるんじゃないかな,という程度しかわからない.

・カワウソ

正直まだわからないが,カッパと対比されていることからネガティブなニュアンスを含んでいるのではないかと思っている.シタッパーズもカワウソの形だった.「欲望フィールド」では看板はカワウソのマークになっていたことから,欲望のメタファーか,あるいはそれに関するものだろうという程度しかわからない.

・カパゾンビ

中盤で箱をかぶった男が交番に居て,その男がカパゾンビになっていた.ラストのネコ男は次回カパゾンビになるキャラクターだと思っているので,カワウソの警察官が欲望搾取するとカパゾンビになるのだろうと思っている.なお,カパゾンビが倒された後に「死に損だ~」と述べているところから,欲望搾取されると死んでしまうのだろう(死と引き換えに力を手に入れる的な感じだと考えている).

しかしそうすると「欲望搾取」してるのに欲望にまみれた怪物になるということになるので,矛盾している.カワウソなので嘘をついている可能性は高いが,なにぶん情報が少なすぎてわからない.

おそらくこのカパゾンビになるような人は「はじまらず,おわらず,つながれない者たち」だと思うのだが,セリフの解釈もできていない.

・はるカッパ

ニコニコ動画などで言及されていたが,冒頭のカズキの二段ベッドの下の段が,おそらくはるカッパと思われる少女が「おやすみ」と眠るシーンとよく似ている.はるカッパがカズキの妹かもしれないと思ったのだが,妹を「あの子」と呼ぶのはおかしい.正直まだわからない.

・その他


・冒頭部分について

冒頭部分の時系列がよくわかっていない.冒頭部分では桜の花びらが散るのが見えるから4月頭ぐらいだとおもうのだが,学校のシーンで出てくるカレンダーは7月と8月のページを開いている.また,冒頭シーンではカズキはミサンガをつけているが,学校の相撲のシーンではミサンガをつけていない.

すごくもどかしいのが4月とかミサンガの有無では未来なのか過去なのかわからないという点だ.学校シーンはミサンガが切れた後なのか,付ける前なのかわからない.なお,冒頭シーンでつけているミサンガは,エンタの箱の中にあるミサンガとよく似ているが,色が違う.ますますわからない.

・けものフレンズのパロディ?

ケッピに対して「祟らないでください!」と言うシーンがかばんちゃんの「食べないでください!」と似ているし,ケッピの甲羅がセルリアンの弱点の石とよく似ている.

イクニ監督が動物好きなのは作品を見れば分かるし,『けものフレンズ』のことが好きなんじゃないかなと個人的には思っている.軽く検索かけたが,監督はけものフレンズ関係のツイートはしていないので根拠は非常に薄い.

・SARAtto report

吾妻サラがテレビに出ているシーンで小さくSARAtto reportという設定のヒントが書かれている.一応まとめておいたが誤字があるかもしれない.
  • SARAtto report + Prince wo sagashiteimasu. Tokucyou ha ikevo de iinioi de irojiro de mochihada de kaeru ja nai dish. Sukina tabemoo ha kyuuri dish. Futsuu no ningen niha miemasen.
  • SARAtto report + Prince ha coldsleep de dokokani nemutteiru hazu dish. Moshi sore wo hakai shita mono ha tatararemasu dish. Gutaite
  • SARAtto report + Otonagai niha HAKO ga hitsuyou dish. Sara ha chocobar black3der wo otonagai shiteiru dish. Darenimo ienai himitsu dish. Yonige nimo HAKO ga hitsuyou dish. Sara mo

・参考

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