2019年4月26日金曜日

さらざんまい2話視聴時点の感想・考察

概要

この一年,幾原邦彦監督が携わった『美少女戦士セーラームーン』,『劇場版美少女戦士セーラームーンR』『少女革命ウテナ』,『輪るピングドラム』,『ユリ熊嵐』を見てきました.そのタイミングでこの『さらざんまい』の放送が始まり,とても感情を抑えきることができないので,毎週その時どう思ったか,どう考えたかを書いていきたいと思います.

なお,上記作品と『さらざんまい』2話のネタバレを含みます.またほとんど自分用のメモなので,スクショを貼ったりしていない文章のみになります.前回の記事はこちら

感想

今週はあまり時間がなく,十分に見ることができていない状態です.まぁ1話に比べて新たに出てくるシーンは少ないのでそう語ることもないので手短に述べます.

今週はより一層イクニ作品らしさが出てきたかなという印象を受けました.その最たる例は希望のサラでしょう.

イクニ監督の影響がどこまであったのかは不明ですが,アニメ版無印『美少女戦士セーラームーン』においては,幻の銀水晶によって,セーラー戦士たちはダークキングダムのいない幸せな世界線に移動しました.また『少女革命ウテナ』では,世界を革命する力を得たウテナはその身を犠牲にしてアンシーを救済した結果,ウテナは居ないが明るくなったアンシーがいる世界へ移動しました.『輪るピングドラム』でも同様に,なにか不思議な力が主人公たちを別の世界線させ,幸せを得ています(基本的に主人公らの自己犠牲を含むため,はたから見ると幸せなのかわかりにくいですが).

このように,イクニ監督の世界観では願いを叶える力が存在し,主人公たちが最後にそれを扱って幸せを得ています(そしてその代償として多くの場合自己犠牲によって誰かは世界から消えることが多いです).おそらくこの希望のサラは幻の銀水晶や,世界を革命する力の具現化したものと考えられます.そしてそれを使うのはエンタなのかもしれないと予想しています.

イクニ作品において,欲望に忠実であることは悪いこととされています.これは欲望(利己行為)が愛(利他行為)と対になっているためです.2話をみるとカズキやトオイは弟のため,兄のために動いています.今の所その動機が未だ不明瞭であるため,本当に家族のために動いているかはわかりませんが,彼等は基本的には愛を実践していることになります.

しかしながらエンタは違います.最後のシーンはカズキの気持ちを考えることをせず,完全に自分のために行動していました.一番まともそうな人間だったエンタが一番欲望に忠実に動いているわけで,この流れはさすがというか,めっちゃ好きです.エンタが「カズキは弟のためにサラを使う気なんだ.お前とは違う!」とトオイに主張していますが,絶対エンタは自分のために使うだろうというのが最後のシーンから分かります.彼はそういうキャラクターなのです.

ではなぜエンタが希望のサラを使うと予想しているかというと,彼が一番あるべき姿から遠いからです.彼が一番欲望に囚われており,愛から遠い存在であるがゆえに,これから彼は愛を知り,そして希望のサラでそれを実践してくれるのだろうと思います.

加えて,エンタのみが家族以外の人間(カズキ)を大切に思っているという点も理由の一つです.家族のために身を犠牲にするのはそこまで突飛な話ではありません.ピンドラの主人公たちが義理の兄弟であったのは血の繋がりのある家族でなくとも真実の愛はあると伝えたかったからだと考えています.イクニ監督は『ユリ熊嵐』が女の子同士でも真実の愛を実践できるということを示した上で,男同士でもそれはあると述べたいのではないかと考えています.

故に,希望のサラが何度使えるのかは不明ですが,一番最後に希望のサラを使うときはエンタが自分のためでなく,真に相手のために使うのではないかと思っています.

シンボルが持つ意味の考察

前回で述べていなかったり,考察や調査がより深まった部分について.

カワウソ

芥川龍之介『河童』を一通り読んだのですが,とりあえずカワウソは河童の敵として描かれています.ちなみにカワウソは河童との戦争に負け,毛皮を引き剥がされたと書かれています.ひょっとして今回の猫の毛を集めてたというのはここから着想を得ているのではないかと思っています.

カッパ

あまり『河童』をしっかり読めていないのですが,少なくとも『河童』において河童は人間の悪習やどこかおかしい考え方を嘲笑するものとして描かれています.『吾輩は猫である』の猫のポジションとモチベーションは似ているような気もします.人間ならざる観点から人間を見つめ直すのはそう珍しい考え方ではないと思いますが.

はるカッパ

前回,家族なのに「あの子」なんていい方をするのは変だから妹じゃないかもしれないと考察していましたが,妹ではなく弟でしたね.はるかちゃん滅茶苦茶可愛い.

とはいえやはりその呼び方は変だと思っていて,はるかはカズキのことを「お兄ちゃん」ではなく「カズちゃん」と読んでいます.またカズキは「はるかって誰だよ」と訊かれた際に,「はるかは……僕の大事な弟だ」と含みのある返答をしています.まぁなにかあるのは間違いないと思います.

もしそうだった場合には,「血の繋がり以外のなにかで結ばれた相手への愛」というイクニ監督が好きそうなテーマになるので可能性は高いと思います.両親も少し若く見えますし可能性は高そうです.

欲望搾取と尻子玉搾取

前回の記事を書いたときは理解が追いついていなかったのだが,ケッピは「尻子玉」を搾取することで主人公たちをカッパにしている.カワウソ一味は「欲望」を搾取することでカパゾンビを作り出している.

「欲望搾取」しているのになぜ欲望にまみれた姿となっているのかは依然として情報が足りないが,尻子玉が残っているのが原因だろうというのはわかった.尻子玉と欲望はほぼイコールだと思っていたのだが,そうではないらしい.うーん何もわからん.

その他

考察できていない部分

沢山あるわけですが気になったところを幾つか挙げます.

・スマホに映るカワウソマーク
あれだけ沢山でてて何もわからない.『ユリ熊嵐』の「ユリダーク」のようになにか特定の感情が生まれたときに出てくるとかそういうのかもしれない.

・はなやしき,なぜハチの格好なのか
特に深い意味はなさそうだがちょっと気になるところではある.「はな」やしきだからハチかなぁぐらいだろうか.

・吾妻サラ
SARAtto reportには「見つけました」とあるがこれはサラが直接会ったということだろうか.よくわからない.

・カワウソ一味のやりたいこと
「急ごう,未来は欲望をつなぐものだけが手に入れる」というセリフからなにかしたいのは分かるが何もわからない.

・去勢
ニャンタローは耳に切れ込みがあるため不妊手術がされているらしい.カワウソ一味の踊りの中でも「去勢された負け犬ども牙を向け」とあるが,これは何を意味するのか.

SARAtto report

Amazon Prime動画では少し画質が悪くて読みにくいですね…….猫にもなにか意味するところがありそうな気がしないでもないです.
  • SRAtto report + Prince ga mitsukarimashita dish. Kandou no saikai dish. Prince ha kawarihateta osugatani… Demo sara no love ha forever dish. Kare no toiki ha kyuuri no nioi. Kare no hitomi ha miwaku no blackwhole. Kare no voice ha sexy voice.
  • SARAtto report + Sara ha keiryuuzuri wo shimasu. Nijimasu, yamame, iwana…dore wo tabetemo delicious dish. Kotsu ha saka
  • SARAtto report + Hitorigurashi niha NEKO ga tottemo hitsuyou dish. Issyo ni gohan wo tabetari cattower de asondari ohirune shitari daremo inai kabe wo mitsume

いろいろ可愛かった

2話の視聴後はキャラクターがみんな可愛いなぁというお気持ちでいっぱいだった.冒頭の「はるカッパdish」でいきなりハートを撃ち抜かれてしまった.カズキも女装姿でめっちゃ走り回る中でちょくちょく可愛い……ってなってた.エンタがキスする気持ちもわかる(?).エンタの姉ちゃんも可愛い.