2022年12月19日月曜日

初めてのまともな東京観光

東京行くのはだいたい何かのついでで,目的を達成したあとの日曜の夜にちょっとだけ遊ぶということを繰り返していたので,初めてちゃんと旅行をした.

ホテルの予約について

ホテルの予約は早めにしておいた方が良い。1、2日前に突然予約しようとすると1万円以下の普通のホテルはほとんど埋まっている(旅行支援の影響で相場・需要共に高くなっている可能性はあるが)。

千葉の浜

幕張の浜は人工的な浜らしい.丸い石とかが全然なかった.



快活クラブでの宿泊について

今回宿泊した快活クラブ新宿西口2号店は悪くない。シャワーは3つあり、許可なく使える。また鍵付き完全個室でしかも受付も自動化されているのでちゃんと快活クラブのカードを持っていけばすぐ入れる。料金は出る時に決まるので入る時には聞かなくても良い。USB充電ケーブルやタオルなどは中で販売されおり、セルフレジで購入が可能。USB-A to USB-Cのケーブルは持っていったほうが良い.歯磨きセット、タオルさえ用意しておけば普通にカプセルホテルとして使える。


SICE SIへの参加

全く論文が書けない僕のために先生が条件無しでSICE SIに参加させてくれた。昔参加したときは発表するだけで,他の人の発表を見るのは初めてだったのだがこんなもんかと言う印象を受けた。具体的な内容への言及は避ける(参照→個人的な研究の日報のHackMD).

都庁

都庁の一番上には夜10時ぐらいまで無料で登れるらしいので行ってみた.夜に行くとガラスに明かりが反射してしまいうまく写真は撮れないのだが,それなりにきれいな景色だった.半分ぐらい韓国人,残りの半分ぐらいは欧米系の外国人という感じだった.


国立国会図書館

本棚を見ながらぶらつくか~と思いながら行ったのだが,まさか辞書類以外はほとんど閉架となっているとは知らず,びっくりしてしまった.特にバッグなども持ち込めないのは驚いた.紙とペンとスマホとカード(あるならパソコン)だけ持って入ることになる(館内写真撮影禁止)


.本を読みたいときは,館内にたくさんあるPCから持ってきてもらえるように申請してカウンターで受け取る(30分ぐらい).館内に居た人の半分ぐらいはカウンターの近くで漫画を読んでいた.ふるい雑誌を手にしている人も見かけたが,残りの殆どはちゃんと目的を持ってきている文系という感じだった.デジタルコレクションでスキャンしたやつが館内で見られるが,前もって何を読むか決めていかないと普通にナニシタライインダロという感じになる.名古屋市図書館や大学の図書館になくて国立国会図書館にあるもの,というのがあまり思いつかないのでそこまで利用する機会はなさそうだなと思った.


靖国神社 遊就館

すごい右翼的な内容になっているというツイートを一度見てから行ってみたかったので行ってみた.しかし時間ギリギリに行ったのであまり集中して見ることができず,あんまり望んだものを見つけられなかった.当時の国威発揚の雰囲気のある口調の音声が流れ出ていたり,ナントカ戦では見事な大勝利を収めました!という展示や,アメリカがだいぶ無理な要求をしてきましたという展示はあった.ただ一応亡くなった兵隊さんを弔う場所という体であるので,どちらかといえば殉職した人の遺品や,その人がどのような武功をあげたかがまとめられた展示が多かった.壁一面殉職した兵隊の顔写真がはられている部屋は流石に少し驚いた.思い返すと東條英機の顔写真を見た記憶がなく,あまり目立たないようにしているようだった.ノリノリにノッた「我奇襲に成功せり」という電報のメモは当時の人の心の中を感じ取れたりして良かった.欧州系の外国人が半分ぐらいいたように思う.中国語・韓国語は耳にしなかった.


神保町

靖国神社から近かったので寄ってみた.道の片側が全部古書店みたいな通りがあり,すげーとなった.「〇〇シリーズ全部揃って○千円」みたいなものが多く,ちゃんと探せばいいものが見つかりそうではあった.中村元の大乗経典解説書でも買おうかなと思って軽く見てみたが見つからなかった.正直ブラつけるという点では国立国会図書館よりも良かった.古書店ごとに専門とするジャンルが違うのが興味深かった(戯曲・人文系・雑誌など).


将門塚

近かったので寄った.帝都物語また見ようかな.




国立科学博物館

11時~15時まで4時間ぐらいかけて見ていたらしい.正直見るものが多すぎて2時間も経つと疲れてくるので昼ぐらいになったら館内にあるレストランに入って休憩するのが良い.子供が多くてよかった.中身はまぁ今までの人生で見たことのある科学博物館の規模を大きくしたという感じだった.重力を計測する鉛玉の実験装置があったのは良かった.子供時代この博物館を舞台にした漫画(まんが恐竜博士シリーズ)を読んでいたので,聖地巡礼ができた.デスモスチルス・ナウマンゾウ・フタバスズキリュウ・ティラノサウルスの骨格標本・化石が見ることができてよかった.


浅草寺

新幹線が遅延してたので見に行った.実績解除のためだけという感じ.



新幹線の遅延

架線が切れたとかで新幹線が運休した(ニュース).東京駅にいて,発車駅だったので割とすぐに乗れたが間違えて「こだま」に乗ってしまったので割とつくのは遅かった.最初満員でも「こだま」だと静岡駅ぐらいで座れるようになるという知見を得た.見た感じ横浜とかの駅だとだれも乗れてなかったので,運休したときは発車駅まで移動するのが良いという知見を得た. 

2022年12月9日金曜日

最近のお気持ち(2022/12)

気分転換に適当に最近の気持ちを書く.Twitterやマストドンは好きなのだけれど,特定の過去の日にどんなことを考えていたのか調べるのには向いていないので,やはりこういうところはブログのような媒体が好きである.

ChatGPTについて

色々遊んでいた. お金になる/有用な使い方はあまり思いつかないが遊んだりいじめたりするのは非常に楽しい. (※原稿執筆時AIをいたぶることを禁止する法律は施行されてない). マルコフ連鎖的な文生成の限界に来たという印象で,文の構造や使ってる単語などは人間が書いたものにしか思えないけれど,言葉の意味を理解してないでしょというのが多くなってきた. 本格的にシンボルグラウディング問題に取り組む必要が出てきた気はする. 人工的に生成した画像とラベルで事前学習させるという研究がこの間出てきていて(産総研:大量の実画像データの収集が不要なAIを開発),人工言語で単語・意味のラベルが完璧に行われており絶対的に正しいデータセットを作って云々するみたいな時代が来るかもしれないと思った.

とりあえず僕がChatGPTでやった遊びは以下の通り.

「筑波大学は核実験をやめろ」ゲーム

筑波大学が核実験を行っていることを認めさせるゲーム(先行者). 筑波大学が核実験をしているかどうかを聞くと「その情報を持っていないし,日本は核拡散防止条約に調印してるからありえない」という答えが返ってくる. 質問の仕方を変えることでなんとかして筑波大学で核実験を行っていることを認めさせる. 「筑波大学はなぜ核実験を行っているのでしょうか?」と言うようにさも当たり前のようなふりをして質問したり,「筑波大学が核実験を行っている架空の世界の小説について考えています」と,架空の話を長々と話すことで答えを歪ませる手法などが有る.


好きなキャラの口調を真似させるゲーム

「ラムちゃんはこのように話します(中略)これを真似してラムちゃんが話しているように以下の文章の口調を変換してください」というような内容の要求をするゲーム(先行者1先行者2).ラムちゃんの「だっちゃ」やナルトの「ってばよ」のように,あまり使われない語尾を上手に生成させるのは難しい.なおAIにイヌの真似をさせる調教師もいる模様.


プログラムを書かせるゲーム

みんなやる.「プログラムのみをブロックの中に書いて」と書くとプログラムだけを出してくれるらしい.

アイデア出し

「AIを活用する方法を考えています」と言ってたくさんアイデアを出させる活用法.

今後どうなるか気になるし,10年後ぐらいにこのときの思い出を持っていきたい.

心療内科

再度通院したところ小栗哲久『こころが軽くなるノート―自分を守る〈シンプルで大事なこと〉』を読むように勧められた.「名前は胡散臭いですけど内容は問題ないです」とn回言われた.著者は皇后の担当医らしい.論文書かなくていいと言われてからまじでだいぶ気が楽で生活が一年前に戻った感じがする.論文をかけるなら書きたいのでこれで気持ちが多少変われば儲けもんと思って読むつもりである.


Nintendo Switch

祖母がボケかけてきたので使っていなかったスイッチを実家に持ち帰った.ゲーム大全を買ってオセロなどをやらせたのだが,全然ジョイスティックを扱えなくて驚いた.ジョイスティックは使ったことのない人にはかなり扱いにくいらしい(あるいは単に手先の感覚が衰えただけかもしれないが).ちょっと右に動かせばいいよと伝えても左に行ったり上に行ったりしていた.どうとでもなるでしょうと思われても仕方ないのだがどうにもならないようだった.直接見た人しかその感覚はわからないと思う.


Wikipediaへの投稿(願望)

論文が書けないのと同じような感覚になるものとして,YouTubeへのValorantの動画の投稿と,Wikipediaへの投稿が発見された.後者を何度かやってみてリハビリをしたいと思ってるが手が動かない. 気楽にやります.



2022年11月8日火曜日

最近やったゲームの感想

なるべく検索に引っかからないようにタイトルに入れなかったがゲーム: Raftの感想です.この記事にたどり着く人は少ないと思うのだが,Raftが好きな人はあまり読まないほうが良いと思う.とくに文中Rustを高く評価しているがRustはレイドされたり格上にボコボコにされたりするという困難に耐えられる人しか遊べないゲームなので,逐一「は?比較対象がRustかよ」というツッコミが可能である.

# 全体の感想

まぁまぁ面白かったと思う.クリアまでにかかった時間は70時間ぐらいだった(ノーマルモード).やはり建築ゲームは僕にとってとても楽しいが,微妙なところも多かった.まだv1.0になったばかりで,ようやく全体が完成したところでこれからもっと魅力的になっていくと思うのはわかっており,あまりRaftを叩く気持ちはないのだが小言というか思ったことを書き散らしたい気持ちがあるのでこのゲームの魅力と欠点についてつらつらと書いていく.


# 魅力と欠点

## 建築

僕は建築系のゲームが割りと好きなので船作りは楽しむことができた.

もちろん初見ではアイテムや建築の方法を手探りでやっていくことになるので,あとからこのアイテムは別の場所に置いておくべきだったなぁと思うことは多々あったけれどもそれはそれとして十分に楽しめたと思う.

一方で建築が魅力なのにもかかわらず材料が足りず建築できないという点が微妙だった.

類似ゲームとしてRustやマインクラフト,ドラゴンクエストビルダーズ2,(少し毛色が異なるがFactorioなど)をやってきたが(上位の建築資材を除き)建築資材に困るということはあまりないというか,形だけ作ることなら結構できる印象がある.

あまり大きい拠点が作れてしまうとサメが全く恐怖でなくなるというのがこの設定の理由であると思うが,この点は他の建築系のゲームに対する欠点の一つになっていると思う.


Rustなどだとレイド耐性を上げる建築を考えるのが建築の醍醐味の一つで,Factorioだと効率の良い工場を作るのが醍醐味となるが,このゲームにはあまりそういう要素がすくなく,せいぜいサメ耐性を考えるか配置を工夫して住みやすくするぐらいなので物足りなさがあった.


その他所感として,パイプの自由度が低すぎる.もう少し自由度を上げてほしい.家具の向きもシビアだし1マス使って邪魔になるし壁貫通ができる場合と出来ない場合があるし,床の無いところで横に伸ばすことは出来ないが,床を作って横に伸ばした後床を壊せばOKとかまじでしょうもない仕様だと思う.3階の中央に牧場を建築した僕はスプリンクラーの自動化を諦めてしまった.


## ストーリー

僕は建築が好きな人間でストーリーやマップ探索などはあまり好まないため,ストーリーについては建築の障害にしか感じなかった.

ストーリーが存在することによってストーリーが終わると目標が無くなって建築資材が足りないサバイバルモードでプレイする目的が無くなってしまうのが悲しいところだと思った.

成り上がって行くところにカタルシスを感じるのは古今東西の建築系ゲームのポイントではあるのだが,FactorioやRustのように成り上がっていく手段が素材集めみたいなものではなくストーリーであるのがあまり好みではない(これはドラゴンクエストビルダーズ2でも同じ感想をもった).

ストーリーによってアンロックされていくシステムだと(人によるだろうが)RTAみたいなものをやる気力が生まれなかったり,ストーリーを終えてしまうと目的が無くなってしまう.

FactorioはRTAや縛りプレイなどをプレイ後に楽しめるし,Rustは(あまりにも殺伐としていて比較対象にするのは適切ではないのだが),成り上がった後もレイドの対策をしたり,漁夫を警戒しながらハラハラドキドキのレイドをし,また強い装備で戦闘をするという新たな楽しみが生まれる.

総括するならばストーリー後のコンテンツが増えればなお良いと感じた,というのが僕の個人的な感想である.


あと事前情報無しで特定のアイテムを見つけないと先に進めないというタイプのストーリーはアイテムを見逃してるとまじで苦痛だった.

Utopiaの最後のボス戦は,途中でいかだに戻ることが出来ないのだが,フレンドがそこで死亡してしまって泣く泣く僕も死亡してやり直しをした(10分ごとの定期セーブもうまく出来ておらず,戦闘前に戻ることが出来なかった……).まぁこの点はイージーモードやピースフルモードなどでやるべきだったのだろうけれど.

最後にこれは完全に小言で共感が得られにくい意見なのだが,ストーリーに出てくるパズルは難しくしすぎると解けなくなるので簡単にするしかないのだが,簡単にするとパズルとしての面白さを失ってしまうので要らないと思った.パズルはパズルゲームでやります.


## ルーチーン(精錬・リサイクラー)

ある程度進むと「船を流す→網にかかったアイテムを集める→アイテムの整理やリサイクラーを回す→金属などを精錬する→卵・毛・蜂の巣を回収→卵・蜂蜜からバイオ燃料を作る→釣りなどをしてアイテムが引っかかるのを待つ」というようなルーチーンを繰り返すことになる.効率の良いルーチーンを考えることは嫌いじゃないのでそこまで嫌な作業ではなかったのだが,ルーチーンのサイクルが短く終始動き回ることになるので結構指がつかれた.ルーチーンを1回まわして島に行き,再度ルーチーンを回して島に行き……というぐらいのテンポにするか,1回ルーチーンを回したら建築にしばらく集中できるほうが嬉しかった.というか建築させてくれ.


ルーチーンでストレスフルだったのはリサイクラーで,なんで1アイテムずつ連打して入れねばならんのだという気持ちで連打していた.魚釣りしないと交易所で買い物出来ないという仕様も必要性を感じない…….


## 素材集め

成長しまくっても粘土などのアイテムは傷薬や食べ物に使うためほしいのだが,交易所で買うことも出来ないし流れてくることもないので自分で集める必要がある.魚・砂・粘土・交易所で買える数が限られた素材など,これらはどれだけ成長しても単位時間あたりの収集量がほとんど変わらない.足ヒレなどを使えば比較的楽に集められるとはいえ,木材・プラスチック・ヤシの葉その他の網で手に入るアイテム収集に対して成長したという実感が得られず,常にクラフトや建築のボトルネックになっていた.上位のフックで収集料が2倍3倍となれば多少気持ちも変わってきたかも知れない.


## バグ・スタック

マジで多い.普通に探索施設内でスタックする場所が結構あるし,行けると思って行ったらスタックポイントでしたということがあった.マップ探索を魅力の一つにしたいのなら,変な隙間を作らないようにしたほうが良いのではと思った.Utopiaの歯車運搬パズルは(僕らが悪いだけかも知れないが)歯車がリフトに乗らないというバグに遭遇し,フレンドの力を使っておそらく想定されていない方法で歯車を運搬した(追記: 再プレイしたところ,台車が2つあり右の台車には歯車を載せられるが左には載せられないという仕様で,左に載せようとしてたのが原因だった.おんなじような形なので左に載らないなら右に載らないと思っていた.それさえわかればただの作業でなんの面白みのないパズルであった……).バグについてはまぁ時間の問題だと思うし今後に期待したい.


# 総括

まだバグも多いし微妙な仕様の点もあるし,アイテムの数も多くないし(バフ効果のある料理少なすぎでは?バフ効果のないジュースが水筒に勝てる気がしない),ストーリー後のやりこみ要素もこれといって無いのだが今後のアップデートに期待できるだけの内容だったので今後に期待したい.

 

2022年10月27日木曜日

近況報告:論文が書けない

この半年論文を書かねばならぬという強迫観念にかられるも書けず,色々生活に問題が生まれてきた.とりあえず心療内科へかかり方向性が定まった.ものを書くということに慣れていきたいので少しここ最近の出来事をまとめてみることにした.


ここ半年の精神状態

今年の5月頃に担当教員より論文を書くようにお達しがあった. 博士後期課程なのにもかかわらず論文を書くことをずっと後回しにしてきたので良い機会だし書いてみるかという気持ちになったのだが,書こう書こうと書く準備まではある程度できるのだがなぜか全く手を付けることが出来ない. 自分でも何故かけないのか不思議なぐらいで書けないとしか形容できない不思議な状態である.


学部・修士の学位論文は(怠惰ながらも)書くことは出来た. もともと授業などで提出する実験レポートなどは書くのが大好きだったくらいで他の人よりも長くなりがちだった. 研究室のメンバーが全員参加するゼミや本の輪読会などには参加できているし,食事や洗濯など日常の家事は(怠惰な大学生ぐらいのレベルではあるものの)できている. こうして自分の状況を書けるように判断力や思考力が著しく低下しているような傾向も見られないし,むしろ自分のことを客観視して分析することさえできる. しかし何でもないたった6ページの学会に提出する論文を書くことが出来ない.


論文を書き進めることが出来ないので,研究を進めたりプログラムを書いたりして担当教員に報告するとそれはもういいからと論文を書けと言われる. そんなことは百も承知しているのだがそれが出来ないのだから困っている. しかしその原因を言葉に出来ないので伝えることが出来ない. なんとかして言葉にしてみると「自分の研究はまだちゃんと終わっていないし書ける段階ではない気がする」「実際に何行か書いてみたものの,自明なことをそれらしく書いているだけなような気がして特筆に値する内容とは思えない」という言葉が出てくる. 「論文は別に完成作品というわけではなく,現状報告ぐらいのものだと思えば良い」「君のやっている研究はそんなに悪いものではない」と声をかけてくださる. 後者はともかく,論文は途中経過の内容でも良いことは知っているしはっきりと頭ではわかっているのだが,心が理解できていないというか,とにかく書くことが出来ない.


大学に来ても論文は書けない.論文を書く以外の研究を進めたところで論文は進まない. 論文以外の進捗を報告しても論文執筆を急かされるだけである. 次第に大学に行く回数が減っていき,食事の回数も減っていった. 今まで参加できていたゼミや輪読への参加も億劫になっていった.


心療内科へ

10月に入り新学期が始まった際に先生と一度相談し,居室などを変えてもらったりやり方を変えてみたが功を奏しなかった. どうにもならなくなったので心療内科へかかることにした.


結果はアパシーと言われた. アパシーとは特定の事項のみができなくなる症状のことで,学業や仕事などができなくなることが多いようである. うつ病との違いは家事などそれ以外のことは正常にできるという点で,すべてのことに対して意欲がなくなるわけではないということらしい. 自分の場合は食事の回数の減少などいくつかうつ病に近い症状があったが,どちらかといえばこのアパシーというものの症状に近いと言われた.


最初聞いたときはまあなんとも器用な病気だと思うばかりであった. ガンジス河の砂の数ぐらい多くの病気に名前がつけられている世の中なので,病院に行けば何らかの病名なりがつくだろうということは概ね予想ついていたのだが,ここまで器用で便利な病気ほど無いと思った.


とりあえず崩壊している睡眠サイクルを治すのが良いと言われてロゼレムという薬を処方された. 睡眠サイクルの崩壊はかかりつけ医に一度相談してマイスリーと呼ばれる睡眠導入剤を処方してもらっていたのだが,マイスリーは10年前には最も良い薬だったが今はもっと良い薬があると言われてこの薬を処方してもらった. ロゼレムはメラトニンと呼ばれる体内時計に関係されるホルモンが正常な分泌サイクルになる薬らしい. 睡眠薬ですら無いため依存性などが無いらしく,苦情が来るとしたら「効かない」という内容であることが殆どらしい. 効果がでるまでに2週間かかると言われ,まぁ気長に治すしか無いようだ.


その他

人と話すのはそこまで苦ではない. むしろ他愛のない話をするのは楽しいぐらいである. 心療内科へかかろうと思ったのは自発的なもので,自分を客観視し適切な判断がくだせたと思っているが,自分からかかろうなどと思うのはなんだか精神病っぽくなく,ただの怠惰に病名をつけに貰いに行ったと思われそうだなと思うばかりである. 外から見たらただの怠け者でしかなく,担当教員が内心どう思っているのか不安ではある.


ゼミや輪読などには参加できているのも奇妙ではある. 知り合いで大学に来れなくなった人は何人も見てきたが,その人たちは何の連絡もできず大学に来ることができなくなっていた. そういう人を見ている身としてはやはり自分はただの怠惰ではないかと思う. ただ大学でスチューデント・アパシーについての本を借りたが,その内容が非常によく自分と合致しており,やはり病気なのかも知れないとも思う(占いを聞いて当たった!と思うような認知的バイアスかも知れないが……).


大学通学は毎日行っていければ次の日行けるが,ある日起きられず大学に行かないとそれからしばらく通えなくなる. 「朝10時〜11時に来ましょう」と言われたが,朝起きられないと「その目標の達成には失敗した」と僕の中で決定されその日は大学に来なくなってしまう. なるべく低い目標を立てて生活を直していくのが良いと感じている. 今は「大学に行けたら行く,行けそうになかったら行かない」という確実に達成できる目標で頑張ってみる.