概要
この一年イクニ監督の作品を見まくっていたので,同監督の新作『さらざんまい』を毎週見て,その時どう思ったか,どう考えたかを書いていきたいと思います.なお,無印セラムン・ウテナ・ピンドラ・ユリ熊・この話までの『さらざんまい』のネタバレを含みます.またほとんど自分用のメモなので,スクショを貼ったりしていない文章のみになります.
感想
何故かNARUTOのイタチのことを思い出していた.いや弟だけを塗りつぶせなかったあの写真はどう考えてもイタチのことを連想せざるを得なかった.「うまく行かねぇときは全部捨てる」という信念のもと,自らの保身・欲望に従ってあらゆるモノを切り捨ててきたチカイにとって,絶対に捨てられない存在・繋がりがトオイだった.このことは兄弟愛を一層強く感じさせられて心が苦しくなる.それと対比してトオイは自分のためではなく,チカイのためにサッカー,友人,穏便な子供時代などあらゆるものを捨ててきた.にも関わらず最愛のチカイを失ってしまうわけで,トオイには幸せになってほしいのだけれど,もうどうやったら彼が幸せになるのか全く想像できないという感じになってる.イクニ作品の流れではここから不思議な力(運命の乗り換え)とかによって主人公らが救われることが多いのだけれど,今回はいろんなキャラクターが悩みや苦しみを抱えていて全員のハッピーエンドは無いように思えてくる.頼むからチカイには幸せになってほしい……作品から一歩身を引いたうえでもう一度見てみると,今回の作品は欲望と愛が共存している点がすごく気になり始めている.ウテナはアンシーのためを思って世界を革命する力を得ようとしていて,欲望のつけ入るスキはなかったように思う.カンバ・ショウマの中にも欲望らしい欲望はなかったように思う.だが今回のさらざんまいには愛を実践するキャラクターの中に愛と欲望が共存している点が今までと違うのではないかと思い始めている.最初の例がエンタで,カズキが好きでキスをしてしまったりサラを盗んだりしてしまうエンタは欲望の権化という感じだったのだけれど,8話で身を挺してカズキを守っていた(見返りをもらわなくても良いという自己犠牲の愛).エンタのこの姿は欲望と愛の共存と言って良いと思う.チカイはもっと分かりやすい.これを見せることで監督が何を伝えたいのかを断言するにはまだ早いが,欲望と愛が共存しているというのはより現実に近い愛の姿なのは明らかだろうと思っている.
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