この半年論文を書かねばならぬという強迫観念にかられるも書けず,色々生活に問題が生まれてきた.とりあえず心療内科へかかり方向性が定まった.ものを書くということに慣れていきたいので少しここ最近の出来事をまとめてみることにした.
ここ半年の精神状態
今年の5月頃に担当教員より論文を書くようにお達しがあった. 博士後期課程なのにもかかわらず論文を書くことをずっと後回しにしてきたので良い機会だし書いてみるかという気持ちになったのだが,書こう書こうと書く準備まではある程度できるのだがなぜか全く手を付けることが出来ない. 自分でも何故かけないのか不思議なぐらいで書けないとしか形容できない不思議な状態である.
学部・修士の学位論文は(怠惰ながらも)書くことは出来た. もともと授業などで提出する実験レポートなどは書くのが大好きだったくらいで他の人よりも長くなりがちだった. 研究室のメンバーが全員参加するゼミや本の輪読会などには参加できているし,食事や洗濯など日常の家事は(怠惰な大学生ぐらいのレベルではあるものの)できている. こうして自分の状況を書けるように判断力や思考力が著しく低下しているような傾向も見られないし,むしろ自分のことを客観視して分析することさえできる. しかし何でもないたった6ページの学会に提出する論文を書くことが出来ない.
論文を書き進めることが出来ないので,研究を進めたりプログラムを書いたりして担当教員に報告するとそれはもういいからと論文を書けと言われる. そんなことは百も承知しているのだがそれが出来ないのだから困っている. しかしその原因を言葉に出来ないので伝えることが出来ない. なんとかして言葉にしてみると「自分の研究はまだちゃんと終わっていないし書ける段階ではない気がする」「実際に何行か書いてみたものの,自明なことをそれらしく書いているだけなような気がして特筆に値する内容とは思えない」という言葉が出てくる. 「論文は別に完成作品というわけではなく,現状報告ぐらいのものだと思えば良い」「君のやっている研究はそんなに悪いものではない」と声をかけてくださる. 後者はともかく,論文は途中経過の内容でも良いことは知っているしはっきりと頭ではわかっているのだが,心が理解できていないというか,とにかく書くことが出来ない.
大学に来ても論文は書けない.論文を書く以外の研究を進めたところで論文は進まない. 論文以外の進捗を報告しても論文執筆を急かされるだけである. 次第に大学に行く回数が減っていき,食事の回数も減っていった. 今まで参加できていたゼミや輪読への参加も億劫になっていった.
心療内科へ
10月に入り新学期が始まった際に先生と一度相談し,居室などを変えてもらったりやり方を変えてみたが功を奏しなかった. どうにもならなくなったので心療内科へかかることにした.
結果はアパシーと言われた. アパシーとは特定の事項のみができなくなる症状のことで,学業や仕事などができなくなることが多いようである. うつ病との違いは家事などそれ以外のことは正常にできるという点で,すべてのことに対して意欲がなくなるわけではないということらしい. 自分の場合は食事の回数の減少などいくつかうつ病に近い症状があったが,どちらかといえばこのアパシーというものの症状に近いと言われた.
最初聞いたときはまあなんとも器用な病気だと思うばかりであった. ガンジス河の砂の数ぐらい多くの病気に名前がつけられている世の中なので,病院に行けば何らかの病名なりがつくだろうということは概ね予想ついていたのだが,ここまで器用で便利な病気ほど無いと思った.
とりあえず崩壊している睡眠サイクルを治すのが良いと言われてロゼレムという薬を処方された. 睡眠サイクルの崩壊はかかりつけ医に一度相談してマイスリーと呼ばれる睡眠導入剤を処方してもらっていたのだが,マイスリーは10年前には最も良い薬だったが今はもっと良い薬があると言われてこの薬を処方してもらった. ロゼレムはメラトニンと呼ばれる体内時計に関係されるホルモンが正常な分泌サイクルになる薬らしい. 睡眠薬ですら無いため依存性などが無いらしく,苦情が来るとしたら「効かない」という内容であることが殆どらしい. 効果がでるまでに2週間かかると言われ,まぁ気長に治すしか無いようだ.
その他
人と話すのはそこまで苦ではない. むしろ他愛のない話をするのは楽しいぐらいである. 心療内科へかかろうと思ったのは自発的なもので,自分を客観視し適切な判断がくだせたと思っているが,自分からかかろうなどと思うのはなんだか精神病っぽくなく,ただの怠惰に病名をつけに貰いに行ったと思われそうだなと思うばかりである. 外から見たらただの怠け者でしかなく,担当教員が内心どう思っているのか不安ではある.
ゼミや輪読などには参加できているのも奇妙ではある. 知り合いで大学に来れなくなった人は何人も見てきたが,その人たちは何の連絡もできず大学に来ることができなくなっていた. そういう人を見ている身としてはやはり自分はただの怠惰ではないかと思う. ただ大学でスチューデント・アパシーについての本を借りたが,その内容が非常によく自分と合致しており,やはり病気なのかも知れないとも思う(占いを聞いて当たった!と思うような認知的バイアスかも知れないが……).
大学通学は毎日行っていければ次の日行けるが,ある日起きられず大学に行かないとそれからしばらく通えなくなる. 「朝10時〜11時に来ましょう」と言われたが,朝起きられないと「その目標の達成には失敗した」と僕の中で決定されその日は大学に来なくなってしまう. なるべく低い目標を立てて生活を直していくのが良いと感じている. 今は「大学に行けたら行く,行けそうになかったら行かない」という確実に達成できる目標で頑張ってみる.
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